最近どうにも歌舞伎不足~なので、シネマ歌舞伎に行ってきましたよ。
あらすじとかはこの辺→
シネマ歌舞伎 刺青奇偶 | エキサイトシネマ
半太郎は基本的にはいい人ですが、博打好きのせいで世間的には悪い人です。
江戸を追われているので親にも悲しい思いをさせてますし。
それでも、何の見返りも求めずに身投げしたお仲を助けたり、世間とか男とか色んなものに嫌気が差してしまったお仲が好きになってしまうぐらいのいい人感というかいい男感が出るのが勘三郎さんでしょうか。
一種の説得力というか、やはりそれだけの力がある人なんでしょうね。
玉さまのお仲は嫌気の差し加減がものすごいというか、半太郎とのやり取りで笑いが起きるぐらいにカラッと見られる風にはしているけど、身投げするぐらいに……あるいは助けられたら身投げをさっさと諦めてしまうぐらいに完全に世間も自分も嫌になっている感じがしましたね。
それだけに、純粋に「助ける事」だけを目的に身投げした自分を助けた半太郎を見た時の希望はすごく感じました。
半太郎が純粋に助けたように、お仲もようやく純粋に助けられたというか。
そんなこんなで夫婦になった二人ですが、幸せだった時も束の間でお仲は重い病になってしまいます。
半太郎は相変わらず江戸には帰れず、博打もやめられません。
それでもお仲は半太郎を愛しているし、半太郎もお仲を愛しています。
自分の命が長くない事を悟ったお仲が半太郎に博打をやめるようサイコロの刺青をするのは、決して半太郎の博打が嫌なのではなく、これさえなければ本当にいい人だしもっといい暮らしが出来るだろうという優しさからの行動だというのがわかりましたし、半太郎もそれがわかっていたのでしょう。
そんな半太郎がせめていっぱい家具のある家でお仲を見送ってやりたいと、禁じていた博打に手を出してしまうのは、お仲が博打を禁じたのがお仲のためでなく、半太郎のためだったからなのだと思います。お仲のために禁じたのなら、半太郎は破らなかったかも知れません。
そういう半太郎のある種の真面目さを受け取ったからこそ、鮫の政五郎親分も話を聞いて博打の勝負で決着をつけようとしたのでしょう。
しかし、仁左さんの政五郎親分は出番が少ない割りに印象深い。あんな親分なら子分も言う事を聞くだろうなあ。
しかし、博打には勝ったけどお仲がこの世にいる間に帰れたんだろうか……
親とのすれ違いっぷりを見ると……
でも、あの(玉さまの)お仲ならわかってくれるはず。