去年は色々あって顔見世には行けなかったので、久しぶりの南座顔見世です。
今回は新しい桧舞台になったという事で、前の舞台の板を使ったグッズなども出ていました。
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一、仮名手本忠臣蔵 山科閑居
顔見世らしい重厚な演目と配役で、お石の「息子は討ち入りに行くので普通の幸せな夫婦にはなれないとわかっているのでキツイ事を言って小浪の嫁入りを断る」気持ちと「許婚の所に嫁に行きたいという娘の希望を叶えたい」戸無瀬の表の言葉と本当の気持ちの間でぶつかる緊張感が秀太郎さんのお石と藤十郎さんの戸無瀬という配役で実現していました。
小浪は壱太郎さんで、ちょっと走りがちなところが小浪の一途さに合っていて小浪らしい小浪でした。
二、お祭り
もうこれは\待ってました!/というしかない仁左衛門さんのお祭りですね、男前!
こういう男伊達ものの舞踊はなぜか絡まれている事が多いのですが、もう理由は男前だからでいいです。
三、鳥辺山心中
年末に心中物はちょっと……とか、なまじ近隣の地名が出てるのがリアルで落ち込むとか思ってましたが、意外と良かったです。
孝太郎さんのお染の素直で一途だからこその悲劇や、普段は優しい半九郎が友人の弟にバカにされてキレるところのヤバイ雰囲気が登場人物の気持ちをリアルに表現していて、特に怒る場面では「うわー、それ以上この人に言ったらヤバイ!」と止めたくなる感じでした。
四、爪王
動物が主役という変わった舞踊劇で、鷹と狐は擬人化されているのに普通に鷹匠や村長(むらおさと読む)が人間の姿で出てくるので不思議な感じでした。
狂言っぽい名乗りで出てくるので人物がわかりやすい親切設計。
七之助さん演じる鷹の名前は吹雪、鳥らしさと美しさだけでなく勇壮な鷹らしい鋭さもあり美しい猛禽類らしくて良かったです。
勘九郎さんの狐は村の鶏を襲ったりしているので動物度が高いのかと思ったら、鷹匠に化けて鷹を惑わしたりと妖術も使う模様。
途中から村長の狐退治の依頼がどっか行って「お前は最強の鷹になるのだ!」みたいになってましたが、綺麗だったからいいかみたいな。
重厚なものあり、定番あり、珍しいものありと見ごたえのある顔見世でした。