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文楽の襲名披露公演は初めてなので、襲名らしい飾り付けもあったり劇場内もいつもと違った雰囲気があって面白かったです。
観に行ったのは口上のない部だったのですが、新しい玉男さんの門出の祝いという雰囲気は味わえました。
絵本太功記(えほんたいこうき)夕顔棚の段/尼ヶ崎の段
小田春長に反旗を翻し、謀反人となった武智光秀とその家族の物語。
江戸時代の大人の事情で名前を変えてますが、わかりやすいですね。
余談ですが、他のどの登場人物より加藤正清の手抜き感が半端なかったです。
旅僧に化けて光秀の母が隠れ住む家に宿を求める真柴久吉と、真柴久吉を刺したはずが母を刺した光秀。
それでも神社仏閣に狼藉を働く春長は許せないと、謀反人となった事は後悔しない光秀の信念。
そして若い命を落とす息子と、それを見届けるしかない新妻の悲劇。
武士のつらい面が全開の重い話ですが、舞台全体から気迫が感じられてしっかりと観られました。
天網島時雨炬燵(てんのあみじましぐれのこたつ)紙屋内の段
紙屋冶兵衛の話ですね、冶兵衛が新しい玉男さん。
冶兵衛は妻おさんの父の使途不明金をごまかすために、遊びで使った事にするために遊郭に通って小春と出会ってしまったという過去があり、おさんは小春に夫と別れてくれと頼んで小春は承諾した状態です。
何とか心中を防ごうと、そして義理を立てようとそれぞれに努力しているはずなのに生存フラグがパキパキ折れていく流れが切ない。
発端のおさんの父はともかく周囲が何とかしようとしているのに冶兵衛がやらかしてしまうのですが、それでもきっと冶兵衛って何とかしてあげたくなるタイプなのかなと思わせる説得力がありますね。
あと、この段って老人から子どもまで出てくるので太夫さん大変そうですがよかったです。
伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)火の見櫓の段
これはもう見せ場オンリーな感じですね、何とかして愛する人を助けるために火刑を覚悟で櫓の鐘を叩くお七と雪のコントラストがザ・文楽でした。