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私邸周辺


松竹座 六月花形歌舞伎『鯉つかみ』

愛之助さんが十二役早替りという事で、鯉つかみを観に行きました。

鯉つかみ[画像]

劇場のあちこちに桃屋と塩の花の広告、と思ったら劇中口上でも桃屋と塩の花とが折り込まれていて笑い。
物語としては、俵藤太の大百足退治から始まり鯉王一族の恨みと釣家(俵藤太の子孫の一族)を巡るお家騒動で悪い奴は悪!というわかりやすい話なので(そもそも十二役早替りですでにややこしいので、これで物語までややこしかったらついていけない)特に何も考えず早替りや宙乗り、そして本水を使った立ち回りとアトラクション的に楽しめました。

まず俵藤太が大百足を倒す勅命を受けて生贄の娘が捧げられた住処へと向かうのですが、生贄の少女が怯える下りが完全に日本振袖始の稲田姫でちょっと「おーい?」となりますが気にしない。
大百足もヤマタノオロチよろしくたくさんの俳優さんでボディを形作ってます、地味な胴体に金色の腕で百足感満載。
そして早替りしながら大百足の愛之助さんを、俵藤太の愛之助さんが倒します。
その時に神様から貰った刀が後でキーアイテムになります。

一方、琵琶湖の底では鯉王一族の若君である金鯉が一族念願の龍への変化を祝っていますが、大百足の血が流れ込んで大惨事。
何事かと戸惑う鯉王に家臣の鮒五郎(鯉の家臣だから鮒か)が俵藤太が大百足を倒し、その血が流れ込んできたと状況説明。血で汚れた体では龍になれない、せっかくの一族の悲願が!と、ここまでは鯉王一族が可哀想で若君も気の毒に思うのですが、そこで「俵藤太、許すまじ!!」と子々孫々まで祟る決意をするので「えー、藤太とばっちり!」となってしまいます。
これでラストに鯉が倒されても「ほとんど逆恨みだもんねー、しょうがない」とスッキリ出来ます。
この鯉の若君と家臣の鮒五郎も愛之助さんです、この発端部分ですでに4役です。

ここで蔦之助さんの劇中口上で藤太の子孫が釣家という名で大変な名家として栄えている事、先代当主が亡くなり遺言では先妻の娘・小桜姫に婿を取り跡を継ぐようになっているが、後妻だった漣が自分の産んだ息子である盲目の為彦に跡を継がせたいと思っている事、また為彦が盲目である事を利用してお家を乗っ取ろうとする者がいる事などそして鯉王一族の祟りが姿を現そうとしている事がしめされます。

もう役名を書くのが面倒なので、ざっくりと雰囲気で。
漣には元彼の浪人がいて、屋形船の上で密会しています。愛之助さんは女形経験もあるのですが、この漣は鏡山の岩藤みたいな立役がやってる悪女風に低い声で演じています。
元彼の浪人も愛之助さんなので、後ろを向いて声だけ漣で衣装は浪人とか早替りあるあるも。
ここで漣が小桜姫を元彼を使って消そうとしている事がわかりますが、ここで船の障子が閉まって小船が「屋形船で夕涼み、いいね~」みたいに言ってる小船が通りすがると中から愛之助さんが!
この愛之助さんは釣家に恩のある商人で、後で大活躍します。

場面は変わって桜満開の清水寺、悪そうな公家(愛之助)がお参りに来ています、この人は釣家の家宝の刀を狙っています。
公家がいなくなると小桜姫一行がお参りに、小桜姫は尾上右近さん、意外と積極的キャラ。
小桜姫は美女なのでアホ若様風の男(愛之助)に一目惚れされてお断りしますが、しつこく付きまとわれます。
アホ若様は家臣まかせにして奥に隠れると、無理矢理にアホ若様のところに連れて行こうとする家臣をパパッと追い払うイケメン小姓(愛之助)が現れ、小桜姫は小姓に一目惚れ。
しかし、このイケメン小姓は鯉が化けた偽者。
他にも奴の愛之助さんが悪い家臣のたくらみを聞いたり、実はアホ若様が悪い公家と繋がりがあったり結構この場面が後の話に繋がっていきます。
小桜姫の味方の篠村と妻の呉竹が味方の商人に小桜姫と家宝の刀の件をこっそり頼んだり。
と、最後にイケメン小姓の服装違いキャラが出てきて「ん?」となるのですがこれが意外と重要キャラ。

場面が変わって二階席に浪人の愛之助さんと商人の愛之助さんが現れ刀の奪い合い、明らかに肩幅の違う浪人が舞台にいるのを二階席から商人の愛之助さんが銃撃!
刀を奪い返したものの、悪い家臣がやってきて刀ピンチ、そこに奴の愛之助さんが来て刀を託します、ごちゃごちゃ取り合ってると清水寺のラストで出てきた謎の小姓の愛之助さんが現れ刀をどこかへ。
結構な人数でやり取りしてるのに、そのうち3人が愛之助さんです。

次の場面では小桜姫が鯉じゃなかった恋わずらいで臥せっています、そこに漣がやってきてアホ若様との縁談を承諾するよう無理強いします。小桜姫が良い家に嫁に行き、自分の為彦が跡を取れば丸く収まると説得しますが、断られたのでひっぱたいていると為彦が止めに入ります。
自分は盲目なので跡をついでも何が起こるかわからない、出家して家督は姉にと頼む為彦。
担ぎ上げようとしてる悪い家臣の事とか、おそらく察していたんでしょうねえ。
本人はいい子なのに、と切なくなってしまいます。
篠村と呉竹が小桜姫の恋焦がれる小姓を探すと約束してくれるので安心して居眠りしてしまう姫。
するとイケメン小姓が宙乗りで現れます、あんまり宙乗りの必要性がない場面なので全くのサービスです。
夢の中で束の間の逢瀬を楽しむものの、現実ではなかったと泣き崩れていると涼しい場所を探して水辺を探していたらお屋敷に迷い込んだという小姓が本人!
絶対に怪しい展開ですが、ここぞとばかりに姫と二人っきりに。姫めっちゃ元気。

ここで、悪い公家の使いがやってきて「姫をアホ若様に嫁がせるか、家宝の刀を公家に差し出すか」の二択を迫ります。
実は志賀之助という人の手によって刀は帰ってきているので、篠村が「姫の縁談はお断り、でも刀あるからいいでしょ」的に言いますが、刀が行方不明のままと思い込んでいる公家の使いは「あの刀は抜くと雷雲が来るから偽物はすぐにわかる、どうせ偽物だろう」というので「本物だったら?」「首を賭ける」という事で刀を抜くとゴロゴロピシャーン!そして浮かびあがる姫と大鯉の影!
その影を見て「姫が婚約中なのに不義密通している!」と騒ぎますが(使いには鯉じゃなく人に見えてるんだろうか)、刀が本物だったので「首賭けるって言ったよね?」と、バッサリ。
ついでにイケメン小姓も引きずり出して「お前、人間じゃないだろ!」と問い詰めると「私は滝窓志賀之助という小姓で…」
しかし、志賀之助というのは釣家の本家の人で訳があって清水寺で小姓をしていたので名乗るなり偽者とバレるという超展開!
鯉一族、数百年の恨みを晴らそうとしている割にツメが甘いぞ!
鯉が本来の姿を現すと、さっき刀を持ってきたと言っていたので無理なく本物の志賀之助が現れて鯉を攻撃!ダメージは深刻だったようで色々と呪いが解けます。
為彦の目が見えないのは呪いだったようで、目が見えるようになっています。
あなたが姉上!篠村と呉竹!お初にお目に掛かりますというお約束展開の後、釣家を祟っていた鯉を倒しに行くといいますが、姉と家を守るように言い、志賀之助は一人で鯉と戦いに行きます。

本水にギミック満載の鯉との戦いは天井からもミストが出ていて、一階席はUSJか!というようなレインコート着用で戦ってるのか水を撒いているのかわからない場面もあり、こうして鯉は倒され釣家に平穏が訪れたのでした。

役柄も衣装も声もころころ変わる愛之助さんが見放題の上に、篠村夫妻や鯉王などもしっかりとベテランが固めていて、小桜姫と為彦もフレッシュで見応えがありました。
by iwanagahime | 2015-06-27 21:52 | 歌舞伎周辺

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