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私邸周辺


當る戌歳 吉例顔見世興行 夜の部

年中行事、という事で中村芝翫さんと息子さんたちの襲名披露公演の顔見世に行って来ました。
今年は南座でも歌舞練場でもなくロームシアター京都なので、向かいの京都市勧業会館でも歌舞伎に関する展示があったりといつもと違う場所ながら顔見世の空気を盛り上げていました。



一、良弁杉由来 二月堂
二月堂の場面なので基本的にお坊さんぞろぞろな感じです。
藤十郎さんの渚の方と鴈治郎さんの良弁というリアル親子配役なので、顔を見たらわかるんじゃないか疑惑が浮上しながらも幼い頃に鷲にさらわれた子を探し続けた母親と、大僧正になりながらも親孝行の出来ない身を嘆いていた良弁の身に着けていた観音像が決め手になるまでなかなか親子の名乗りを果たせないもどかしさと、再会してからも遠慮がちな母親とお釈迦様の逸話を引き合いに出してでも親孝行がしたい良弁の心のやり取りが奥深かったです。

二、俄獅子
時蔵さん孝太郎さん梅花さんの芸者と、橋之助・福之助・歌之助の三兄弟の鳶頭による粋な踊り。
お祭りっぽい雰囲気やアクロバティックな場面、屋号が書かれた傘がパッと開いたりと華やかで襲名ムードが盛り上がる舞台でした。

三、人情話文七元結
芝翫さんの長兵衛に扇雀さんのお兼の夫婦に壱太郎さんのお久という一家です。
長兵衛の第一声がすごく不機嫌に「今けえったよ」なので、長屋の近所の住民の気分というか「あー、また長兵衛さんばくちで負けて帰ってきたなー。こりゃ大変な事になるぞ」みたいな空気があります。
色々あって角海老に行くと魁春さんが女将さんで、厳しくも優しい雰囲気。
壱太郎さんのお久がものすごく健気な雰囲気なのもあって、あくまでも「この健気な子に免じて許すんですからね」という空気がびしびしと。
そんなこんなで50両を長兵衛に渡しながらもお久を店に出すのは待ってくれるわけですが、帰りに文七が身投げしようとするのを止めるために50両を渡してしまうわけですが、七之助さんの文七は本来は真面目な感じと放って置くとマジでヤバイ事になりそうな感じとか、おかしくも可哀想な感じでよかったです。
よく考えたら、最後にどうせ石ころだろうと「こんなもの!」と言いながら布越しに叩いてる間に本物の50両だと気付くあたり普段は信頼されていて叩いてる感触でわかるぐらいには扱いなれていますし、長兵衛が一回だけ聞かせた50両の経緯を記憶していてきちんとお久の所までたどり着いているし、文七ってかなり優秀なんでしょうね。
きっと健気なお久も報われるのでしょう。
一瞬しか出てこないのに男前の鳶頭の仁左衛門さん、と思ったらここで劇中口上なんですね。
昼の部では寿曽我対面でカッコいい衣装での口上だったようですが、演目が演目なので扇雀さんは「こんな汚い格好で」と笑いを取っていました。

四、大江山酒天童子
源頼光と酒天童子の話ですが、勘九郎さんの酒天童子が童子の名の通り子供のような雰囲気なのが余計に怖いです。
頼光が七之助さんで平井保昌が橋之助さん、助け出される娘達が壱太郎さんと福之助さん歌之助さん。
頼光と四天王が酒天童子にさらわれた娘達を最初は鬼が化けてるのでは?と疑うので、自分がさらわれる前はどういう状況でどういう身分だったかを踊って聞かせる場面が娘達の見せ場で、それぞれ身分や職業の違いが出ていて面白かったです。
酒天童子は鬼が飲むとパワーダウンして人間が飲むとパワーアップするという都合のいい酒で倒されるのですが、歌舞伎らしくビシッと決まっての幕切れで一年の締めくくりにふさわしかったです。

by iwanagahime | 2017-12-09 21:57 | 歌舞伎周辺

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