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カテゴリ:歌舞伎周辺( 144 )



二月花形歌舞伎(午後の部)

二月花形歌舞伎[画像]
色々やっている間に千秋楽になってしまいましたが、まずはおめでとうございます。
という訳で楽日も近い日に二月花形歌舞伎、午後の部に行きました。
今月はどっちかというと個人的には女形で見たい壱太郎さんと尾上右近さんが立役でしたが、新たな魅力を見た感じで良かったです。
もちろん女形として出ていた梅枝さんと新悟さんもそれぞれの役で良い感じでした。


最初に松也さんのご挨拶、歌舞伎らしく口上で始まるのかと思ったら急に普通発声でのトークになって一笑い。

演目の紹介や観客への感謝など、そして右近さんに強要された(?)という「研の會」のDVD(右近さん個人の会)の宣伝ありと手短でわかりやすくまとめていました。


一、金閣寺

舞台装置が華やかで歌舞伎らしいながら、長い話の一部なので背景が頭に入ってないと難しい面もあるお話。
雪姫の梅枝さんをはじめとして、松永大膳の又五郎さん以外は慶寿院も新悟さんと若手配役で金閣ぐらいまぶしかったです。
そして、雪姫と直信の別れる場面の切なさからの現実感のない大量の花吹雪とかファンタジー100%。
全員が良かったですが、特に真柴久吉の歌昇さんと佐藤正清の種之助さんが実はものすごい計略をしている雰囲気があってよかったです。

二、連獅子

松也さんの親獅子と右近さんの仔獅子、年齢が親子ほどは違わないので「親っぽさ」とか「仔らしさ」の演技が強調されて見える感じですね。

宗論の國矢さんと玉雪さんも舞台を引き締めてました。

後半の獅子になってからは迫力しかないというか、若手の連獅子らしい勢いが舞台からはみ出してました。


若手だから足りない部分もあるんでしょうけど、若手らしい良さみたいなものが感じ取れた舞台だと思いました。


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by iwanagahime | 2017-02-25 22:28 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


シネマ歌舞伎『阿古屋』

阿古屋[画像]
現在では演じられるのは玉三郎さんお一人という阿古屋のシネマ歌舞伎版ですが、玉三郎さんも公式サイトで述べられているように動きの少ないお芝居ですのでシネマ歌舞伎には向かないかと思っていました。
私も実際の舞台も見た事がありますが、演奏の場面では舞台と客席の空気のようなものも影響しているイメージでしたし。
しかし、その空気は舞台を作り上げていく過程を映像として見せる事でカバーしている感じで、ドキュメンタリー映像と実際の舞台映像を続けて見る事で積み上げられていた緊張とその結果として美しいものが出来上がるという実現を見せているようでした。
鬘や衣装、楽器の用意や大道具や照明、そして出演者の全員。
竹田奴の一人一人とその指導にあたるベテランの菊十郎さんの映像は、舞台では面白いものとして見える竹田奴だからこそ真剣に作っている姿が見ごたえがありました。

そして出来上がった舞台は玉三郎さんの一瞬一瞬が全て阿古屋として美しく、景清を想いながら景清の行方を知らない悲しさがこもった演奏でした。
その心を見抜く重忠の菊之助さんも音楽から心を見抜きそうな雰囲気がして、すっきりした重忠でした。
亀三郎さんは残酷な台詞を言いながらもどこかコミカルな岩永を、人形だからこそ出る人間味を感じさせつつ演じていました。

全国での上映は終わっていますが、シネマ歌舞伎ですのでまた上映される機会もあるかと思います。
そして、玉三郎さんに続く阿古屋が出る事を願っています。

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by iwanagahime | 2017-01-28 23:34 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


吉例顔見世興行 第三部

南座顔見世 先斗町[画像]
今年も無事に顔見世に行きました、今年は南座が工事中のため先斗町歌舞練場でしたが道が狭い以外は京都らしい風情もあり顔見世の空気も感じられました。
ただ私が取った席が花道が見えないという致命傷に近い欠点のある席で、それをカバーすべくモニターは設置してあるのですが画質がいまいちな上に花道から舞台に移動する途中で見えなくなる瞬間があるのでここはもう少し席の等級を下げてもいいんじゃないかという席でした。
南座より劇場そのものが小さいので花道も短く、長々と花道で芝居をする場面もなかったのでこの等級だったのかも知れないですが。
舞台そのものはとても良く、三部制で各部の時間が短く物足りないかなー?と思いましたが、引窓と娘道成寺とガッツリ歌舞伎を見た感がある演目でした。

引窓はこの出演者の中でならベスト配役じゃないかというぐらいで、廓の雰囲気を残しながらも良い女房なお早の孝太郎さんに武士の妻としての誇りと、どちらの息子にも愛情があるがゆえに葛藤する母お幸の吉弥さん、そして出世を喜ぶ姿に任務に対する厳しい顔と長五郎と母の過去を知り見せる情と表情がくるくる変わる中に与兵衛後に十次兵衛の気持ちがよくわかる仁左衛門さん、そして大きな体で罪への葛藤と生きてほしいという母とその一家の願いを受け止める濡髪長五郎の彌十郎さんという正直もっといい席を取るんだったという舞台でした。

京鹿子娘道成寺は所化さんぞろぞろではなく、強力二人が出るタイプ。
まいまい尽くしはなく鱗四天がトウ尽くし。

強力の不動坊・普文坊は廣太郎さんと廣松さん。

雀右衛門さんの花子は強い恨みではなく、ふんわりとした華やかさの中に悲しさを感じる花子でした。

劇場の特性か舞台が近く見えたのですが、舞う姿や顔には疲れのようなものは見せないのに普通だと見えない場所で汗が見えたのがものすごく体力を使う踊りだと実感しました。

最後の押戻登場のパートでは顔立ちが180度違うと言っていい海老蔵さんとのコントラストが際立っていて絵として興味深かったです。


いつもと違う劇場でも顔見世の空気、そして歌舞伎は楽しいと思った日でした。


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by iwanagahime | 2016-12-24 23:15 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


中村勘九郎・七之助 錦秋特別公演2016(大阪)

中村勘九郎 七之助 #錦秋特別公演2016 に行きました。
今年は歌舞伎塾と称して、いてうさんと鶴松さんが楽屋入り(普段着)から草摺引の曽我五郎と舞鶴にまでを解説(と、フリートーク)を交えて見せる企画をやっていました。
こういう化粧の様子のような企画は雑誌などではありますが、それでも浴衣姿からというのがほとんどなので楽屋のセットまで組んで普段着からというのはなかなかないです。
「歌舞伎役者の人って普段から着物なんですか?」とか「コンビニ行くんですか?」というような事を聞かれますが、普段は本当に普通なんですよ、という七之助さんの言葉通り本当に普通の格好で出てきました。
いてうさんの穏やかそうな顔から勇ましい五郎もなかなかですが、鶴松さんの普通にいそうなちょっと顔のいい男子大学生から女形姿とのギャップは変身レベルでした。
化粧道具や鬘、衣装の意味などわかりやすく面白かったです。
草摺引本編も勢いがあり、血気盛んな五郎としなやかに引き止めようとする舞鶴が良かったです。
そして七之助さんの汐汲と勘九郎さんの女伊達と女形舞踊二種。
汐汲は汐を汲む桶など大き目の道具を使いながらも、柔らかく華やかさの中にも恋人を想う切なさを舞っていました。
女伊達は昔は女形が多く最近は立役が多い勘九郎さんですが、立ち回りなど流石のダイナミックでいながらも愛嬌や艶やかさもある踊りでした。
ちょっとフリートークがフリーすぎる面もありましたが、初心者から見慣れた人まで楽しめる公演でした。
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by iwanagahime | 2016-11-19 22:33 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


芸術祭十月大歌舞伎(夜の部)

歌舞伎座10月[画像]
久しぶりの歌舞伎座です。
初の3階A席だったのですが、運よく最前列だったのでかなり見やすかったです。

一、歌舞伎十八番の内 外郎売

松緑さんの外郎売で、周りも大磯の虎が七之助さんで化粧坂少将が児太郎さんだったり、生改め福之助さんに宜生改め歌之助さんのお披露目のためか若手配役。

そんな中、工藤の歌六さんが舞台をビシッと引き締める感じでした。

フレッシュかつ見応えありで、襲名披露にふさわしい雰囲気でした。


二、襲名披露口上
橋之助さんが芝翫さんになり、ご子息3人もそれぞれ橋之助・福之助・歌之助と歴史ある名前を襲名という事で女形は先代の芝翫さんにお世話になった話、他の方も新しい芝翫さんに対する期待とご子息の未来を祝うベーシックな雰囲気でした。
そんな中、新しい芝翫さんのワイドショーネタを混ぜてくる菊五郎さんがマジ菊五郎さんでした。
また真面目に出演する演目や芝翫さんに対する期待を「親戚として」語っていると思ったら、「親戚一同もよろしくお願いします」とさり気に自分も親戚アピールを欠かさない魁春さんと、「支えて行きたい所ですが、幸ちゃんは大変なしっかり者なので」と誉めてると思ったら「私が体調を崩した時も、効くんだか効かないんだかわからない難しい名前の薬をくれたり」と微妙なネタを披露する梅玉さんの兄弟が面白かったです。

三、一谷嫩軍記 熊谷陣屋

今回は芝翫型という事で花道ではなく舞台の上で「十六年は一昔」の台詞を言うとか、有髪の僧の姿で出家するとか文楽に近いのかな?みたいなスタイルです。

花道であの台詞を言って去っていくと、本当に何もかも終わってしまう感じですが、舞台の上で言うので何もかも終わっているのに出家したとはいえ生きていかないといけない熊谷みたいな悲しみがありましたね。

相模と藤の方って子どもが同い年なぐらいだからそう年は離れてないはずなんですが、今回は中の人が魁春さんと菊之助さんという親子ほど違う配役で、それでも役柄の違いもありますがそんなに離れて見えないあたりが歌舞伎マジックというかそういうものを感じました。


四、藤娘

今回の襲名は先代の芝翫さんが女形なのに対して、新しい芝翫さんが立役のため、先代のゆかりの演目はお世話になった女形の人が演じるという風になっているらしく、藤娘は玉三郎さんです。

前に見た玉三郎さんの藤娘より古風(衣装も)というか、ふんわりした雰囲気なのは先代の芝翫さんリスペクトなのでしょうか?

とにかく最初から終わるまで現実離れしていて、三次元なのが不思議でした。


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by iwanagahime | 2016-10-15 23:58 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


九團次の会

九團次の会[画像]
森ノ宮ピロティホールの九團次の会に行きました。
今の名前になる前の会と違って新作があったり、パンフレットが豪華で花の脇役などの著者である関容子さんのコメントも掲載されていたり。
新作の義士残花抄は忠臣蔵の討ち入りに参加しなかった義士にスポットを当てた内容で、九團次さんは二役。
曽根崎心中の取材という表向きで生き残った義士の一人に取材に行く近松門左衛門と、討ち入りに参加する前に心中をした若い義士でした。
近松の役は年齢よりかなり上の役で、逆に義士は年齢を言った時に軽く笑いが起きるぐらい若い役。
どちらも最初は合わないかなー?と思いましたが、最後は説得された感じの熱演でした。
義士の行動もそうだねー、若いもんねーみたいな。
九團次さんと市川家のお弟子さんだけでなく、秀太郎さんのお弟子さんの千壽さんも相手役で出ていました。
千壽さんは上方の遊女らしい空気感で、お綺麗でした。
太刀盗人も積極的に笑いを取りに行くというよりきっちりした雰囲気でしたが、リズミカルさが際立って面白かったです。
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by iwanagahime | 2016-09-10 23:51 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露七月大歌舞伎(昼の部)

中村雀右衛門襲名披露[画像]

芝雀さんが雀右衛門を襲名されるという事で、歌舞伎座ではすでに襲名披露が行われていますが関西ではこの松竹座七月大歌舞伎が初めてになります。
演目も昼の部は上方感がある演目が多く、芝雀さんの頃はなかったイメージもあるのが新しい雀右衛門さんなのかなと思いました。

一、小さん金五郎
 実家を勘当されて幇間をしている若旦那と、勘当された原因の芸者が最初に恋仲の二人として出てくるのでこの二人を巡ってどうなるのかなーと思ったらかなりの超展開で、さらにちょっとストーカー気味な女髪結(吉弥さんが怪演、綺麗目の吉弥さんじゃなかったらガチすぎて見れなかったかも)が最後に振られて現代語の恨み言があってぶっ飛んだりとかなりわかりやすく面白いお話。
 それでいて、若旦那が勘当を解いて許婚と一緒になるか、芸者との恋を叶えさせるかで対立する小さんと金五郎の心の動きは孝太郎さんと鴈治郎さんの二人なのでものすごい展開でも付いていける説得力がありました。

二、夕霧名残の正月
 名妓として知られた夕霧の追悼のために作られた演目なので、四十九日の法事をしている扇屋に伊左衛門が訪れて夕霧の魂が現れるという寂しい内容。
 藤十郎さんの伊左衛門が上方感たっぷりに演じます、夕霧が新しい雀右衛門さんですが、芝雀時代はあまりなかった儚いイメージで新鮮な雰囲気でこれも良いと思いました。
 友右衛門さんと秀太郎さんの扇屋主人と女将が舞台を引き締めていました。

三、与話情浮名横櫛
 見染め、赤間別荘、源氏店の三場。
 仁左衛門さんの与三郎はこれぞ与三郎という感じで、見染めのいかにも若旦那な雰囲気から赤間別荘での良くないと知りつつも来てしまう心の動きに源氏店の落ちぶれても若旦那が抜けきっていない様子と全てが与三郎でした。
 雀右衛門さんのお富は、お富に普通は求めるキリッとした雰囲気は物足りない感じがありましたが、それだけに本当は親分のお妾さんは向いていなかったんじゃないかとか、その向いてなさからあんまり強そうじゃないけどマイルドな若旦那によくないと知りつつ恋心を抱いてしまったんじゃないかという妙なリアルさがありました。
 妹感があるお富というべきでしょうか(そういや多左衛門というお兄さんがいるんだった)

 梅玉さんの多左衛門は全てを察しつつその場では明かさず、それとなく知らせたり非常に大きな感じがしました。
 松之助さんの番頭藤八はいつ見ても面白いです。
 歌六さんの蝙蝠安は蝙蝠安の悪い雰囲気はありながらも汚くなりすぎない感じで、何だか見やすかったです。

新しい発見もありつつ、歌舞伎を観にいった充実感はたっぷりの七月大歌舞伎でした。
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by iwanagahime | 2016-07-23 22:58 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


シネマ歌舞伎「棒しばり・喜撰」

棒しばり・喜撰[画像]
シネマ歌舞伎の棒しばりと喜撰を見て来ました。
まずは三津五郎さんと勘三郎さんの最後になってしまった棒しばりで、これはシネマ歌舞伎用に撮影されたものではないのでスクリーンで見るには画質がいまいちなのですが、それ以上に伝わってくるものがあるので見ていると気にならなくなってきます。
たとえば舞台全景の映像だと表情などはまったく見えなくなってしまうのですが、舞踊としての体全体の動きや全体の雰囲気が想像させるという感じですね。
いつの間にか笑ったり、拍手したりと舞台を見ているのと同じリアクションを取っている自分に気が付きます。

次が喜撰で、これはシネマ歌舞伎用に撮影されたものなのでやはり映像がくっきりしています、この順番なのはやはりいくら名演といえども先にシネマ用の良い映像を見た後だと現実を突きつけられてしまうからでしょう。
時蔵さんとのコンビは春の華やかな空気を感じられ、出家の身なのに女人に心を動かされてしまう(しかも何か弟子も知ってるみたいな)喜撰は間抜けといっていい設定なのにほんわりした雰囲気で嫌な感じがなく愉快さを感じさせ、お梶の魅力にも説得力があり一足先に春を感じました。

もう撮られた過去の映像という意味では家庭用の映像ソフトも映画も変わらないですが、舞台というのは出演者・スタッフだけでなく観客も重要な要素で、その観客が自分以外にいるシネマ歌舞伎はやはり家のテレビとは違う何かがあると思いました。
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by iwanagahime | 2016-02-20 22:46 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


松竹座初春大歌舞伎(幕見)枕獅子

枕獅子[画像]
松竹座の初春大歌舞伎は諸事情により枕獅子だけの幕見でしたが、扇雀さんは遊女姿での華麗な舞いも艶やかで、季節の風情や心の移り変わりの雰囲気もあり、また後半の獅子は勇壮で迫力がありました。
清涼山の石橋の風景も豪華でお正月らしい華やかさがある一幕でした。
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by iwanagahime | 2016-01-23 23:37 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


當る申歳 吉例顔見世興行(昼の部)

南座[画像]

三等席ですが、南座の顔見世に行ってきました。
四代目中村鴈治郎襲名という事で、玩辞楼十二曲の演目が多かったですね。
昼の部では碁盤太平記と心中天網島「河庄」でした。

一、碁盤太平記
大石内蔵助が主君の仇討ちをする気があるのかないのか……という忠臣蔵おなじみの展開ですが、内蔵助は下僕の岡平が実はスパイだと気付いていて他は気付いていないという状況。
どちらかというと女形のイメージの扇雀さんが内蔵助で、敵を欺くだけでなく仇討ちの結果として罰せられる事を視野に入れて母や妻との縁切りまで考えて放蕩している深慮遠謀と、世間から誤解されながらも仇討ちのために腰抜けのふりをする意志の強さと同時に、遊女や幇間を引き連れて遊ぶ華やかさがあり、こりゃ騙されても仕方ないなーという感じでした。
そんな内蔵助を実は真面目だと知らずに主君の恩義や武士道を説く母・妻・息子は母が東蔵さんで妻が幸太郎さん、息子が壱太郎さんで、これまたストレートに内蔵助に意見をぶつける姿が似合う人ばかりでした。
全ては仇討ちのためとわかった後の展開も、手のひら返しというより納得して感じ入っている雰囲気でした。
実は敵の医者が寿治郎さん、実はスパイだった岡平は愛之助さんで、特に愛之助さんはニコニコ愛想のいい下僕だけど本当は胡散臭い感じが似合ってました(誉めてる)
全体的にしっくり来る感じで見やすかったです。

二、吉野山
静御前が藤十郎さんで、忠信が橋之助さん。
先ほどの重めの仇討ちから桜満開の吉野山、ここも裏には悲しい思いがあるのですがここは華やかな道行です。
華やかながら主従という雰囲気は良かったのですが、今回は花四天や藤太が出てこない展開なので忠信の狐パワーを発揮する場面がなく、出でドロドロ出てくる場所以外はあまり狐という感じがしなかったです。

三、心中天網島「河庄」
紙屋冶兵衛が鴈治郎さん、この冶兵衛は本当によくも悪くもストレートな人なんだろうなと思いました。
冶兵衛に妻子がいる事を考えて別れさせようとする兄の孫右衛門と、身を引こうとする遊女小春、出てこないけど手紙で登場する冶兵衛の妻のやり取りや考えの深さが深いだけ、冶兵衛のストレートさに兄の気持ちになって「あちゃー」となったりしますが、このストレートさが小春は良かったんじゃないかという事も思いましたね。
孫右衛門の梅玉さんと小春の時蔵さんがシリアスな空気なので、余計に冶兵衛のストレートさが際立つというか。
冶兵衛のライバルの太兵衛と善六コンビが愛之助さんと亀鶴さんという、レベルの低い嫌がらせが腹立つ感じで良かったです(誉めてる、その2)

四、土蜘
頼光が謎の病気で苦しんでいると病気平癒の祈祷をしにきたと僧が現れ、実は土蜘だった!みたいな話です。
土蜘が仁左衛門さんで、僧として現れた時の何か不気味っぽい感じから正体を見破られて蜘蛛の糸をブシャーしながら去っていく様子など迫力がありました。
四天王たちが手負いの土蜘の血を辿っている塚にやってくると、土蜘が苦しんでいる声が聞こえてくるのでちょっと可哀想になりましたがやはり登場すると妖怪の大物っぽさ満載で蜘蛛の糸を出しながらの立ち回りは見ごたえがありました。

ここ数年の顔見世は心中物が連続して重すぎたりしましたが、今回は忠臣蔵の重厚さと吉野山の華やかさ、シリアスな人間関係の心中物と蜘蛛の糸が大迫力の土蜘とバランスが良かったです。
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by iwanagahime | 2015-12-26 23:57 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)

    

本サイト弓戸亜朗私邸では書ききれなかった小さい事を、主:亜朗(iwanagahime)がどこまでも核心に迫らないまま書くブログ、だいたいそんな感じで。
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