私邸周辺


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西福寺の仙人掌群鶏図など

豊中にある西福寺では毎年11月3日に寺宝の公開があるのですが、虫干しなので雨が降ると公開中止になります。
今年は無事に晴れたので、行って来ました。

寺宝というのは伊藤若冲の仙人掌群鶏図などをはじめとした絵画なのですが、これは天明の大火で家などを失った若冲がしばらくこのお寺に滞在していたという事で檀家の薬種問屋・吉野五運からの寄進という形で納められたそうです。

若冲の絵としては珍しい金地の襖絵で、仙人掌と鶏が描かれています。
襖絵なので襖のサイズなのですが、頭でわかっていても掛け軸や屏風に比べると「大きい」というのが第一印象でした。
逆から言えば本などで印刷で見る分には実際のサイズに関わらない安定感があるという事でしょうか、わかりやすく若冲の鶏というイメージでした。

他は水墨画で、黒く塗られた背景に白い髑髏が浮かび上がる野晒図は宝蔵寺の髑髏とはまた違った野原に忘れ去られたような骨でした。
また山水図の掛け軸もあり、こちらもシンプルな水墨画らしい山水図でした。

そして元は仙人掌群鶏図の裏で今は掛け軸になっている蓮池図は圧巻で、一見したところ乾いた印象の画面に枯れた蓮が目に入ってくるので寂しい印象を受けますが、間から伸び上がってくる蕾や咲いている蓮の花が真っ白に目に飛び込んできます。
たとえ荒れ果てた場所でも伸びやかに咲き誇る蓮に、大火の後に見た若冲の願いを見た気がしました。
やはり珍しい金地で若冲といえばな鶏な仙人掌群鶏図がお寺のパンフレットなどでもプッシュされていますが、印刷ではなく実物を見るとパワーを感じ取れるのは蓮池図だと思うので、公開の日に行くならこちらに注目ですね。

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by iwanagahime | 2017-11-11 23:28 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


国宝展(2期)

京都国立博物館の国宝展に行きました、展示数が多いだけでなくすべて国宝というものすごい展覧会ですが、展示替えも頻繁で4期まであります。
もちろん通期展示のものもありますが、ほとんどが入れ替えで2週間で入れ替わるものも。
29日までの2期に行きましたが、1・2期に展示の火焔型土器と2期のみの龍光院の曜変天目が見所でしたね。
藤田美術館の曜変天目は深い青の中に光が見える感じでしたが、龍光院のものは遠目でも白い点がはっきりしている上に全体の黒の中から白い点の周りに青い光が浮かび上がっていました。
この世のものではない雰囲気は貴重なものとして大事にした昔の日本人の気持ちも、思った通りの出来ではないと捨てた昔の中国の人の気持ちもどちらもわかるような神秘的なお茶碗でした。
他に青磁鳳凰耳花入・万声や雪舟の天橋立図や慧可断臂図など、普通の展覧会なら目玉になるようなものばかりが大量にあるという状況で、しかも入れ替わっても入れ替わっても目玉展示があるので何期か行く人がいるのも納得。
火焔型土器は縄文土器ですが、縄目模様ではなく紐状の粘土で作られた模様が迫力でした。
縄文だと他にも三体の女神像など、縄文時代ならではの不思議な造形が面白かったですね。
他にも病草紙(二形と歯槽膿漏)や餓鬼草紙など、陰惨ながら庶民の姿が描かれたものもあり国宝の幅広さが伺えました。
狩野永徳や長谷川久蔵(長谷川等伯の若くして亡くなった子息)などの絵画が並ぶのは圧巻、中国の山水画も後ろの人の足音が鳥の声に錯覚するぐらいの深山幽谷感。
常設で展示されている巨大な大日如来と不動明王はどうするのかと思っていたら、今年に新しく国宝に認定されたとか。修復中の金剛寺の本堂が完成するので、来年の春にはお帰りになるそうです。
他にも平等院の雲中供養菩薩像や法隆寺の広目天に数々の同じタイプが作られる大元の清涼寺観音像など、見所しかなかったです。
華厳五十五所絵図のかわいい善財童子や、柄が三鈷になっている金剛寺のカッコいい宝剣に五体の仏像がデザインされた錫杖に豪華な蒔絵や螺鈿の箱、四騎獅子狩文様錦などの模様が綺麗な布など単純に見ていて楽しいものもあります。

藤原道長の経筒や空海・最澄の書など、誰もが知っている歴史上の人物にまつわるものもあります。
弘法も筆の誤り・ザ・リアル。

とにかく情報量が多いですし、展示入れ替えも頻繁なので見たい国宝の展示期間に注意して時間に余裕を持って見に行くのが吉かと。
私も見終わったら外は真っ暗でした、慧可断臂図の顔出しパネルはしませんでした。

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by iwanagahime | 2017-11-04 23:32 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


ブリューゲル「バベルの塔」展

10/15まで大阪の国立国際美術館で開かれているバベルの塔展に行きました、こちらはベルギー奇想の系譜展と違って東京が先ですね。

ブリューゲルの絵画がメインという事で、版画などはベルギー奇想の系譜展とかぶっているものが多いのかと思いましたが同じブリューゲルでもベルギー奇想の系譜展では七つの大罪が七つとも揃っていたり、怪物など妙なものが画面を所狭しと埋めているものが多く、バベルの塔展では怪物以外にもスケート場の様子や農村の結婚式や祭りなどの人々を描いたものが多く展示されていました。
全体的にはベルギー奇想の系譜展がボスから現代美術までとすると、バベルの塔展はボス以前のネーデルラント美術からブリューゲルまでという感じでした。
最初は聖人の彫刻があり、聖書の場面を表現するために複数の聖人の像が教会にあったのが散逸して作者がわからなくなったりと仏像でも聞いたような話がありどこも世知辛かったです。
作者がわかっている数少ない像も展示されており、細やかで聖人の事をよく知らなくても雰囲気が伝わるようでした。
次に聖書の一場面や聖人の物語を描いた絵画がありましたが、個人の礼拝のために作られたものが多く、教会に大きな絵画がドーンというよりは普通の部屋に飾れるサイズのキリストや幼子イエスとマリアなどの絵が多かったです。
教会に飾られたものも聖書の場面を物語風に複数の絵に分けて描いた物があり、そうやって物語をわかりやすくするためか聖人を普通の周りの人と同じ大きさで描きながら持ち物や服装などで特徴付けていました。
また、小さな絵ほど宝石や髪型や服装の表現が細やかで、キリストの頭部という絵も小さいながらこちらを見つめるかのような眼差しや宝石の細やかさが目を引きました。
イエス・キリストというと現代の日本人には聖☆おにいさんのイエスのように長髪のイメージですが、そのイメージもこの時期のネーデルラント美術で確立したそうで、それがなければ聖☆おにいさんのあの二人のコンビ名もパンチとロン毛でなかったかも知れません。
聖書の一場面を描くものが続きますが、それぞれ聖人の受難を巡る人間ドラマであったり崩壊する街の風景だったりと描きたい題材を基準で聖書の中から合うものを引っ張り出した感じもありました。
そしてボスの怪物ブームが起きるのですが、聖クリストフォロスの絵などはメインの幼子イエスを背負って川を渡る聖クリストフォロスの姿だけでなく後ろにドラゴンや花瓶ツリーハウスに住む謎の小人がいたりと謎の怪物が出現しまくっていました。
もう一つの放蕩息子も祭壇画にしては謎すぎる題材ですし、ブームを現すかのように似たような怪物をぞろぞろ描く人も現れてカオスでした。
ボス本人がいなくなった後にブリューゲルがデビューするのですが、「第2のボス」的な売り方をされていたのも何だか今でもありそうな。
ここまでの小さな祭壇画の細かい描き込みやボスの怪物、聖書の物語と言いつつ人間ドラマや風景を描いているのを見ているとブリューゲルの描く色々なものがネーデルラントだから生まれたように感じる展示の流れでした。
バベルの塔も大きさとしては新聞を広げたぐらいのイメージなのですが、とにかく細かい描き込みが凄くて存在感というか絵から圧力のようなものさえ感じました。
引きで見てもバベルの塔と地平線にかすむ風景との境目など、ダイナミックさがありますし、細かく見ていけば見ていくほどバベルの塔の建設作業現場で漆喰まみれになって働く真っ白になった作業員や真ん中あたりの礼拝堂に並んでいる人々(中には貴人もいるらしく、天蓋のようなものも)や手前の畑や奥の港の船で働く人々の姿が見えてきます。
また、バベルの塔の上層部で続いている建設作業がレンガの建築様式をリアルに再現しているので人間の傲慢さというよりは努力や生活というものが溢れていました。
最後のあたりに3倍に拡大した複製画や、CGで表現した映像などがありましたがどれだけ細かく見ていっても「細かい描き込み」である事が感じられる凄まじい絵でした。

物販エリアはTower of BABELをもじったTowel of BABELや、怪物グッズにバベルの塔の飛び出すカードなど楽しげなグッズが盛りだくさんでしたが、魚の絵がモチーフのタラ夫という謎のキャラクターのフォトスポットが脱力感がありました。

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by iwanagahime | 2017-09-23 23:04 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


忍者と県立ギョカイ女子高校

怖い絵を見た後は、同じく兵庫県立美術館のギャラリー棟で開催されていた井上涼さんの個展に行きました。

びじゅチューン以外の井上さんの作品にも興味があったのですが、コンサートなどはなかなかタイミングが合わず、また怖い絵で(美術的には充実したものの)精神力が削られたのでその回復にちょうど良さそうだったので行きました。
壁面と床に映像が映し出され、忍者が県立(何県なんだろう)の魚介類が通う女子高校の先生(ワタリガニ)から依頼を受け、校歌のお披露目会を成功させるというストーリーですが、可愛らしいキャラクターが音楽に乗せてポジティブなメッセージを送ってくれる楽しい映像作品でした。
忍者が女子達(イカとか)を元気付けるために持ってきたものでなく、そっち?!なものに興味を持つのも笑いつつ何だかリアルだなあと思う部分も。
なかなかそうはいかないながら、まずはやってみようという気分になる良い作品でした。

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by iwanagahime | 2017-09-16 22:26 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


怖い絵展

9月18日までの兵庫県立美術館『怖い絵展』に行きました。
中野京子さんの著書『怖い絵』のシリーズは文庫版の一冊しか持っていませんが、見てすぐわかる怖い絵から説明されてはじめて怖ろしくなる絵など様々でした。

神話、歴史など題材ごとに展示がわかれていて、神話では美しい女神と美青年の綺麗な絵だと思っていたら女神ディアナが愛した美青年エンデュミオンは人間なので年を取ったり亡くなったりしてしまうからとそうならないように別の神に頼んで永遠の眠りで姿が変わらないようにしたとか、どれだけ顔ファンなんだ女神という怖ろしい絵だったりしました。
同じく神話に題材を取ったオデュッセウスとセイレーンも、海にいる時は人魚なのが船によじ登って行くとともに人間の姿になるセイレーンの不思議さもさることながら、それを見たオデュッセウスの目が見えてはいけないものが見えている人の目で、これを描ききっている怖さもありました。
他にも悪魔や魔物や骸骨に地獄などわかりやすく怖ろしい題材もありましたが、貧困や悪事を働く人々など憂鬱になる怖さのものも多かったです。
そして、目玉作品のレディ・ジェーン・グレイの処刑は高貴な生まれだったがゆえに時代に翻弄されて処刑に至ってしまうわずか16歳の女王の悲劇を描いたものですが、侍女達の嘆きや聖職者や処刑人の暗い表情と全体的に暗い色調の中に目隠しをされながらも白いドレスで清らかで光り輝くような若い女王の姿と、想像される数秒後の惨状がリアルなタッチだからこそ「手が届きそうなのに何も出来ない」というその場に居合わせたような気持ちがかきたてられる名作でした。
同じ歴史を題材にした絵では、チャールズ1世の幸福だった日々という絵も美しい王妃とかわいらしい子ども達と優雅に舟遊びをする幸せそうな国王という明るい場面しか書いていない絵だけに、タイトルの“幸福だった”という過去形と清教徒革命でチャールズ1世が処刑されたという歴史が重くのしかかってくる絵でした。

ベルギー奇想の系譜展で気に入ったロップスの悪魔との再会や、叫び以外のムンク作品も多く見られ、目玉のキルケーやレディ・ジェーン・グレイにも見ごたえがありました。

暗い作品が多いだけに、妙な明るさのある子供向け鑑賞ガイドやグッズ展開が何だかクレイジーでした。

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by iwanagahime | 2017-09-09 23:58 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


ゲゲゲの人生展

大丸ミュージアム神戸のゲゲゲの人生展に行きました、入り口では鬼太郎達がお出迎えでしたが国宝と箱にしたためた水木サンのへその緒に始まり水木サンの人生のあれこれを展示していました。

教頭先生を驚かせ、新聞に天才少年と紹介された絵や漫画家を志す前のもの。
大丸神戸店を訪れた父の絵が描いてあるページを開いて展示してあった本がありましたが、ここならではの展示方法だったのでしょうか。
めがねなので召集されないと思っていたら戦争に行くことになり、ラッパと寒いのを嫌がって南方に行く事になった兵隊時代のエピソードや戦地で書かれた手紙。
戦争で片腕を失っているので、戦傷病者手帳もありました。
戦記物の漫画は戦後すぐのものと、もっと後に描いたものではやはり伝え方が違っていたり。

貸本漫画の時代、まだまだ貧しかった水木サンの家を再現したものもありました。
もちろん鬼太郎や悪魔くん、そして妖怪に関する展示も盛りだくさんで海外で水木サンが手に入れた精霊の像など怪しいものの数々も。
水木サンが生き、描き、集め、こちらの世界に残してくれた数々を実感する展示でした。
何だかまだまだ存在感の強い水木サンというものも感じました。

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by iwanagahime | 2017-08-12 22:00 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


奈良西大寺展

あべのハルカス美術館の奈良西大寺展に行きました、目当ての吉祥天女像は6日までなので何とか間に合いました。
東大寺と言えば奈良の大仏ですが、西大寺と言えば的なメジャー仏像が失礼ながらあまり思い付かないと思っていましたが、セットでまとまって現存する貴重な塔本四仏坐像や2016年に新しく国宝に指定された中興の祖である叡尊(興正菩薩)の像など仏像や仏画、宝物など多くの寺宝が展示されていました。
また展覧会のサブタイトルに叡尊と一門の名宝とあるように、関わりのある他のお寺からの仏像も展示されています。
8/6までのスペシャルゲスト扱いの浄瑠璃寺の吉祥天女像はお寺では見られない360°展示で、お寺で見る正面からのお姿だけではなくどの角度からも隙のない美しさと細やかさである事がわかりました。
また、天女のヘアスタイルについても正面からだとセンター分けのボブに見えていたのがツインテールのようになっていて、これも360°展示ならではだと思いましたね。
グッズも吉祥天女像を心の恋人と呼ぶみうらじゅんさんのイラストのグッズがありました、ちなみに見仏コンビのもうお一方・いとうせいこうさんの恋仏の文殊菩薩像も展示です。
この文殊菩薩像もいくつかのお寺からのものがまとまって展示されていて、衣装や髪型の違いがあったり、童子の姿をした像などもあり興味深かったです。

釈迦如来像も螺髪が渦巻きのようになって衣も模様のように波打っているものがあり、シンプルな如来像の中での表現が目を引きました。
吉祥天女像の展示はおわりましたが、後期は愛染明王像が出るそうです。

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by iwanagahime | 2017-08-05 22:27 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


ベルギー奇想の系譜展

7/9まで兵庫県立美術館で開催のベルギー奇想の系譜展に行きました、バベルの塔展とは入れ違いで東京に巡回する模様。

展示はボスやブリューゲルから現代アートまでですが、ボスはボス本人というよりボス工房とフォロワー多数という感じで当時のブーム感を体系的に見られるのは良かったですがボスを期待していくとちょっと違うかも知れないですね。
このあたりのは七つの大罪とか聖クリストフォロスとか聖アントニウスとか、聖書が題材なのを言い訳に怪獣映画的な事をやってる感が良いですね。
燃える風景とか、怪物わらわらとか。
ボスやブリューゲルの怪物は、画面センターの迫力あるものより端の変にかわいいのが面白かったです。
ブリューゲルの方が全体的に怪物が丸っこい感じでグッズ映えしそうでした、あと魚が印象的。
同行者がいる人が怠惰がモチーフの絵の前で「これ私」と言ってる率の高さは関西での開催だからでしょうか。
現代アートは筆を咥えて胸に金塊(紙製っぽい)を胸郭に入れた全身骨格の頭でティンパニーを愉快に鳴らすもので、やたらインパクトがありました。
ブリューゲル以外だとロップスが良かったですね、スタイリッシュ悪魔って感じで皮肉も高位の宗教者の衣装を着た死神とか中二ハートに訴える雰囲気で。
マグリットが意外とたくさん見られたのも良かったです、姫路市立美術館所蔵のものも数点。
ベルギーというくくりでこれだけ色々な不思議なものを見られるのも面白かったですね、ベルギーってどんなところなのかという興味も出る感じでした。

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by iwanagahime | 2017-07-01 23:33 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


奈良国立博物館・快慶展と大阪市立美術館・木×仏像展

どちらも6/4までという事で、ギリギリっぽいですが行ってきました。
ちなみにどちらかの半券を持ってもう一つの方に行くと割引があるという事ですが、そういう意味以外でも違う視点で仏像という同じものを集めた展覧会に行く事で何か見えるものもある気がしました。
まずは奈良国立博物館の快慶展から。
快慶という一人の仏師を中心に、その生涯と時代背景を追う形での展示。
後白河院との出会い、東大寺再興と大きなプロジェクトに関わりながらも阿弥陀仏への深い信仰心と仏像を造るという道を究める姿が見えました。
また、仏像を介した信仰の形も心が安らぐような姿に造るだけでなく、願文を仏像の内部に納めたり、また巨大な仏像と菩薩の面をかぶった人々が行列をしたりと様々な形がありました。
千手観音や大日如来といった見るからに華やかな仏像もあり、またお顔がつるっとした仏様の多い中、風格のある顔立ちが印象的な僧形八幡神、そしてシンプルなシルエットながら僧衣の隅々まで華麗な模様を施した地蔵菩薩、そして大迫力の四天王や金剛力士など様々な仏像の「日本人が思い浮かべる綺麗な仏像」の基本形にして頂点のような仏像が目白押しでした。
日本における「いわゆる仏像」のイメージは定朝で固まって来るイメージですが、美しい仏像の基本は快慶だと思いました。
最後あたりの円形の部屋に快慶が生涯に渡って造った阿弥陀仏立像をぐるっと囲むように展示してある場所があったりと、展示の仕方も面白かったです。

そして、大阪市立美術館の木×仏像展。
木という材質に注目した仏像展なので、様々な時代の作者も(わからないもの含めて)様々な仏像です。
仏教が伝来する過程で仏像も日本に入ってきますが、そうすると外国にはない木があったりするので代わりの木材で作るようになったとか、表面の粘土に目が行ってしまいがちな塑像も中心は木だったりとか。
また、雷に打たれた木が特別な力があるとされて仏像にされたりと樹木を聖なる物とする文化の影響も感じました。
また、最初は一本の木を彫りだしていたのが表面と中心の乾燥の差を防ぐと同時に軽量化するために中をくりぬいたり、また大きな木がなくても大きな仏像をたくさん造るようになり寄木の仏像が出来たりと、仏像造りにおける木材との付き合い方の歴史も見えました。
大きさも様々で、手乗りサイズのようなものから見上げるような四天王まで。
また、地蔵と僧だけの部屋があり、そこに看板にもなっている宝誌和尚像があるのですが、他の地蔵菩薩がシンプルなだけにこの宝誌和尚の顔面が割れて中から菩薩が出てくる姿の異様さが際立つような。
己の中の仏を見せる僧の物語から、この造形を生み出すのはものすごいものがあります。
また表面が荒削りなのも、この状態からさらに表面がはがれて中から菩薩が出てくるのではないかというような錯覚を起こすためかと思いました。
それらが小さなものや湿度管理が特に必要なものなどは除いてほとんどがケースなしの全方向から見られる展示なので、お堂では見られない姿もあり一度見た仏像も新鮮でした。
今まであまりピンと来なかった円空仏も、慶派以降の豪華で美しい仏像が中心になってきた世界で生まれたと思うとそういう方向性もありかなという感じでしたね。

作りかけのまま時を越えてきた忿怒相ではない大元帥明王が何だか気になりました、木だけに。

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by iwanagahime | 2017-05-29 23:11 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)


海北友松展

5/21まで京都国立博物館で開催されている海北友松展に行きました。
武士の家に生まれながら戦乱の世の中で絵師として行き、武家として海北家の再興を願っていたそうで、前半の展示であった資料に同じ船に乗っていた人が船にいたメンバーを書いたものがあったのですが、気を遣ったのか友松を画家ではなく「絵が上手な人」みたいに説明していたりと複雑な事情があるっぽい人ですが、ダイナミックなものから煌びやかなもの、そして静かなものと80年以上の生涯で絵師としてフル回転している感がありました。
水墨の建仁寺大方丈の巨大な龍の障壁画は大迫力で、静止しているのが不思議なほどの存在感でした。
そして金碧障壁画は打って変わって華やかで、金の下地に牡丹の花という煌びやかさですが嫌な派手さではないのが素晴らしかったです。
人物を描いた絵には背景に屏風や掛軸があったりするのですが、その屏風や掛軸にも絵が描いてあり、それも細かくて面白かったです。
かと思えば何だか丸っこい馬の絵があったり、どれだけのジャンルをカバーしてるのかとなかなか油断できない展示でした。
暗い中に龍の絵がいくつも展示してある部屋など展示の仕方も面白く、最後に物静かな月下渓流図屏風(ネルソン・アトキンズ美術館所蔵)で締めくくる感じが良かったです。


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by iwanagahime | 2017-05-13 22:39 | びじゅつ | Trackback | Comments(0)

    

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