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松竹座・七月大歌舞伎 夜の部

船乗り込みだけ行って本編を観ないなんて、関西在住の歌舞伎好きとしては絶対に出来ない。
というか待って待って松嶋屋、仁左衛門さんの復帰後初の松竹座なので気合い入れて行きました。

夜の部[画像]

一、沼津
少し前に文楽で通しの伊賀越道中双六を観たので、この背景にはああいう事が……とか、この後で十兵衛は……とか考えたので、より深く観られました。
その前から知識として大きな仇討ち物の巻き込まれる庶民パートだというのはあったのですが、仇討ちの発端とか今後の運命とか考えるとそれで親父どんが犠牲になるのも悲しい話度が増すというか。
出演が十兵衛が藤十郎さんでお米が扇雀さん、そして平作が翫雀さんという親子シャッフル配役。
翫雀さんの平作はちょっと丸っこい感じが合わないかな?と思いましたが、観ているとおじいさんに見えてきて客席一周サービス中は逆親子配役を生かしたネタで笑わせて、親子の情愛や自己犠牲でしっかり泣かせる感じでした。
藤十郎さんもお米を見て急にウキウキする雰囲気などちゃんと若い人で、逆親子配役を感じさせたのは翫雀さんのネタぐらいでした。
扇雀さんはパッと出てきた時の綺麗さはもちろん、訳アリ感が出ててよかったです。

二、身替座禅
仁左衛門さんの右京は浮気する殿様の役なのに可愛く見えるパーフェクト右京で、表情がくるくる変わるのが愛嬌があって見飽きないです。
奥方の玉の井が付いてまわるのもうなずけますが、ついてまわりすぎてちょっとウザがられてるんでしょうねえ。
翫雀さんの玉の井は右京が好きで好きで仕方がないゆえに怖い奥方になってしまってる感が良いです、物理的にも重い女性ですけど。
間で振り回されてる太郎冠者の橋之助さんも奥方が怖いと言いつつ殿様が愛人の花子のところに行くと決まったら、花子のところにいる紅梅という彼女にメッセージを託してしまうちゃっかりした雰囲気がよく出ていて楽しかったです。

三、真景累ヶ淵
豊志賀も身替座禅の奥方に続いて重い女性ですが、元美女が病気で顔が変わってしまった悲しさと、そのせいで愛した人の心が変わる不安(元から年上というのもあり)から恐ろしい言動になってしまい、その言動で余計に心が離れる悪循環にはまっているように思いました。
時蔵さんは恐怖感はあっさり目なのですが、あっさりしているだけに逆にじわじわ怖い豊志賀でした。
菊之助さんの新吉は怯える姿がおかしくも悲しく、心が豊志賀からお久に移っていくのも弱さから来るもののように思いました。
怪談なのに噺家さん蝶の萬太郎さんの噺家的に話さないと説明が出来ない感じなど笑う部分もあり、そこで笑ってからの怪異など雰囲気が緩んだ時に襲い掛かってくる恐怖が何とも。
舞台で怪談を観るのは初めてでしたが、ギミックはもちろん演技があるからこその怖さなんだと思いました。

四、女伊達
ちらほらと埋まってたはずの席が空席になっているのを見ましたが、よくあれの後に夜道を帰れるなと。
孝太郎さんは強さの隙間から可愛さがにじみ出る役が似合うような、立ち回りでビシッと決まったので気持ちよく帰れました。

歌舞伎と一口に言ってもバラエティに富んでいるといつも思っていますが、またそういう認識が深まった今月でした。
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by iwanagahime | 2014-07-26 23:55 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


歌舞伎座七月大歌舞伎・夜の部

こけら落としには行けなかったので、新しくなった歌舞伎座には初めて行きました。
お目当ては
天守物語[画像]
天守物語です。

玉三郎ファンかつ兵庫県民としては(姫路のお城が舞台なので)是非とも観たかった演目だったのですが、朗読公演とシネマ歌舞伎を経てようやく実際に観る事が出来ました。

歌舞伎座あれこれ[画像]
歌舞伎座の新しくなったあれこれも見てきました、あちこち見て回ると確かに移動がしやすくなった印象。
そんな新しい歌舞伎座で観劇。
花道の外側でしたが、演目的にあまり悪い影響がなかったので幸いでした。

一、悪太郎
狂言が元になっている松羽目物、酒が行き過ぎて本当は太郎なのに悪太郎と呼ばれる主人公の素行を伯父が嘆く形で説明しています(そういえば、狂言って何かと伯父さんに頼みに行くイメージ)
台詞で説明はされているものの、実際の悪太郎はいい長刀をゲットして上機嫌なのはいいけど酔っ払った状態で長刀を持っているというデンジャラスさ。
運悪く出会った修行僧も大弱り、ここでの修行僧の困りっぷりがまた後に生きてくるという。
この酔って長刀をブンブンやってるのに当たらない絶妙さが面白かったですね、ここで修行僧にヒットしてたら後半のイベントが発生しません。
何とか修行僧が逃げた後、伯父さんと太郎冠者が酔って道で寝ている悪太郎の髭を頭を剃り、上着を取って僧衣と数珠を起き、太郎冠者が声色を使って仏様が酔って悪事を働かないよう出家するようにお告げした感じにします。
髭を剃った跡も髪と同じく坊主頭カラーで青っぽい色なのが地味に面白かったです。
寝ぼけた頭で仏様のお告げと信じて名前を南無阿弥陀仏と改め、お坊さんになる決意を……って、その名前はいいのか?と思っていたら、さっきの修行僧が南無阿弥陀仏~とお経を唱えながら戻ってきて、それに(自分の名前と思って)いちいち返事をする悪太郎改め南無阿弥陀仏。
お経だと思って唱える修行僧と自分の名前と思って返事をする悪太郎のすれ違いっぷりと、出家する決意を知って受け入れる修行僧のいい人っぷり。
そして伯父さんと太郎冠者を加えてみんなで踊って終るという、いいのか?とまあいいか!の入り混じった感が大らかでした。

二、修善寺物語
修善寺物語を観るのは二回目で、中車さんを生で観るのは初めてです。
面作師の夜叉王が中車さん。
夜叉王は桂と楓という娘二人の違いを理解している感じで、自分も職人でありながら桂が職人を蔑む発言をしても宮仕えをしていた母親に似たのだろうと特に反論しないような人なのですが、面の事となると納得が出来ない作品は将軍様に急かされても出さない芸術家な人です。
中車さんはちょっと老けた役の声が不自然でしたが、面へのこだわりや命の消え行く娘の顔を面の題材にしようとする姿が迫力がありました。
最後のあの場面は恐ろしい場面でもありますが、高貴な身分に納得してこの世を去ろうとする娘と自分の面作りに納得して続けようとする親子が通じ合った瞬間でもあるのかなと思いました。
あ、あと月乃助さんの将軍様が幸薄そうで良かったです。

三、天守物語
玉三郎さん一門による朗読公演とシネマ歌舞伎を経て、ようやく富姫様にお会いする事が出来ました。
客席の明かりが消えて通りゃんせの声が聞こえて、ここがずっと来たかった天守なのでした。
腰元達が露を餌に秋草を釣ったり、亀姫が猪苗代から手鞠をつきに来たり、城主・播磨守の鷹狩が亀姫の道中の邪魔になってはいけないと夜叉ヶ池のお雪様に雨風で追い払うよう頼みに行く富姫とかファンタジックな設定が畳み掛けるように繰り広げられます。
城主のお殿様や何十石、何百石の武士達はどうでもよくて農家の案山子から借りた蓑は大事に返しに行ったり、富姫の基準もここで展開されていますが、説明でも主張でもない風にするすると自然体で聞こえてきます。
(むしろ、ここで富姫の基準をしっかり聞かされているので後に図書之助のためを思ってした事が逆に災いとなってしまっても富姫の気持ちに付いていけるというか)
そんなお姉様な富姫と遊びに亀姫がやってきます、亀姫は衣装も赤姫で富姫を慕う姿も可愛い系なのにお土産が猪苗代の城主の首というのが妖怪的です。
首を前にキャッキャウフフと戯れる美女二人の図は一歩も動かずに迷宮に入り込んだような感覚が素晴らしいです、はい。
ちなみにこの猪苗代の城主が播磨守の兄弟で、首だけだとそっくりだそうです。
舌長姥の場面は笑ってる人も多いですが、門之助さんがナイス不気味でした。
そんな素晴らしい(富姫基準)お土産のお返しを用意したい所なのですが、城主秘蔵の兜は勝ち戦の後ろの方にいたぬくい兜なので値打ちがない(富姫基準)上に蘭麝の香もなくかび臭いので代わりのものを帰りまでに用意しましょうと手鞠遊びに。
結局そのお土産が城主の大事にしていた日本一の鷹だった事から図書之助が天守に来る事になる訳ですが、自分の姿を鶴に見せて鷹を捕まえる(殿があの鶴を捕まえろと鷹匠に命じるから)姿が、ふと本当に人間ではないように見える妖しい瞬間。
人間がわーわー言うのは適当にあしらって、亀姫は鷹を手に猪苗代へ。

花道の七三にある切り穴(すっぽん)は、普段の歌舞伎では妖怪や妖術使いが出現するスポットなのですが、天守物語では逆に人間が入ってくる階段です。
図書之助が来ました。
海老蔵さん本人に対して私はちょっと体温が高そうなイメージを持っているのですが、図書之助は本当に「涼しい」という言葉がふさわしいです。
覚悟も心意気も、富姫が「生きて帰そう」と思い、そして「帰したくなくなった」図書之助です。
天守に入った人間は生きては帰れないのですが、生きて帰そうと思うすっきりとした人間。
生きて帰して人間の手によって命を奪われてしまうのは惜しい、帰したくない存在。
富姫は自分の基準では鷹は自然のもので、自分のものだと主張する播磨守を滑稽だと思っていたので亀姫に持たせた

のですが、それで鷹匠の図書之助に切腹を命じる播磨守は意味がわからない。
ここまで来た証として与えた秘蔵の兜は図書之助が(富姫から播磨守に)取り返したと言ってもいいのに、なぜか逆賊扱いされてかつての友までが図書之助に襲い掛かってくるのも理不尽だと思っている。
そして、千年万年にたった一度の恋。

図書之助を追ってやってきた武士達が獅子頭の来歴を語るのですが、それによると富姫は悲しい最期を遂げた高貴な女性が妖怪となった姿。
その最期を見守った獅子頭の目が潰されると天守の住人は目が見えなくなってしまいます、図書之助も。
この時点ですでに天守の住人だったんですね。
播磨守そっくりの首(前半で出てきた亀姫のお土産)で武士達が退散したものの、目が見えないままではこの天守の維持が出来なくなるのも時間の問題と覚悟を決めた時にこの獅子頭を作った桃六が目を修理しに現れます。
我當さんの貫禄のある声が響く中、富姫と図書之助の美しい姿で幕。

カーテンコールは賛否両論ですが、海老蔵が図書之助ではなく海老蔵に戻っていたので「図書之助の時ってものすごく演技してたんだなあ」という実感がありました。
玉三郎さんは美しかったです、ここまで「玉三郎さんが美しかった」と書くのを控えようと思っていましたが無理です。
姫路城の天守閣に住む妖しく美しい富姫、最初の出から台詞の一つ一つから仕草の一つ一つまで妖しさと美しさで溢れていました。
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by iwanagahime | 2014-07-19 23:18 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)


映画『超高速!参勤交代』

久しぶりに映画なぞ見に行ってきました、湯長谷藩のお殿様が佐々木蔵之介さんで幕府の将軍様が猿之助さん。
何か、この二人また共演してるって感じですが。

それは置いておいて、幕府の老中の陣内さんが振り切った悪役で清々しかったですね。
お殿様が慎ましい食卓ながら美味しそうに食べてるあたりと、老中が贅沢してるのに文句を言いながら食べていたりする対比とか。
最近は悪役にも悲しい過去やトラウマがあったりしがちですが、時代劇だとこれくらい振り切ってるのが良いです。
トラウマは逆にお殿様があったり(後半で解決)

参勤交代は色々と決まりごとがあるので、ただただ高速移動すればいいという訳ではなく(日数が飛脚やお庭番なら行けるけど行列なら厳しい設定)きちんと大名行列を組んで通らないといけない場所があって、その乗り切り方も面白かったです。
後半、ややご都合主義というかタイミングが良すぎる場面もありましたが、必ずそこに来るまでに前ふり的な台詞や場面があって、きちんと予兆は出ていたりするので親切設計。

湯長谷藩の場所からしてメッセージ的な台詞もありましたが、時代劇の空気を崩さないように入れられていたので「あーあ」とならないのも好感がありました。

涙あり笑いありアクションありで、俳優さんの演技もよく単純な話ながら見ごたえのある映画でした。
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by iwanagahime | 2014-07-12 23:06 | 見たもの周辺 | Trackback | Comments(0)


松竹座・船乗り込み

6/29の船乗り込みに行ってきました、道頓堀の式典だけに行ったのですが出発の様子も道頓堀ヴィジョンの大画面で生中継されていたので余すところ無く見られました。
松竹座前の式典は場所取りに失敗したのであまり見られなかったのですが、船上式典の様子はよく見えました。

船乗り込み[画像]

仁左衛門さん復帰という事でやはり声援も大きかったです、そして秀太郎さんは逆に観客を撮影していました。

いつも松竹座前の式典では俳優さん方は花束を受け取ってお話、そして後ろに並ぶという流れなのですが、今年はなぜか花束を受け取り忘れそうになる方が多数でした(笑)
今年の松竹座七月大歌舞伎も楽しみです。
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by iwanagahime | 2014-07-05 23:31 | 歌舞伎周辺 | Trackback | Comments(0)

    

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