私邸周辺


松竹座:七月大歌舞伎NINAGAWA十二夜

今年の七月大歌舞伎はシェークスピア原作、蜷川幸雄演出の『十二夜』という事で洋風な外観の松竹座がさらに洋風にデコレーションされていました。

しかも、開場とともに流れる古楽器のバロック音楽……(バッハのマタイ受難曲?アレンジされていたのでわかりにくかったですが)
舞台写真は思ったより歌舞伎!という感じだっただけに、どういう舞台なのか松竹座に入る前から想像が付かない雰囲気。

それでも中に入るといつも通りの析の音が響いているし、席に着けば舞台の上には定式幕。

どんな感じなのか全く想像が付かないまま、そろそろ開演。

あらすじは運がよければこの辺



幕が開くと雅楽のような衣装を着た楽人と童の歌が、と言っても楽器は天使の絵が描かれたチェンバロ?ハープシコード?と鼓、そして童は信長の時代ぐらいに宣教師から洗礼を受けた少年のような衣装で宗教曲を歌っています。
舞台の後ろには鏡、桜と宗教曲の作り出す異空間の中で織笛姫への想いを切々と訴える大篠左大臣。

もともとの十二夜を観た事がないので何ともいえませんが、恋物語に宗教曲なのは劇中に何度も出てくる「神仏のように」恋しい相手を想うという事を表しているのかなと思いました。

一方、船の場面では主膳之助と琵琶姫の兄妹は菊之助さんが早変わりをしながら状況説明をしています。
船旅の途中で嵐に巻き込まれ、命は助かったものの離れ離れになる兄妹。
頼れるものもいない中、女の身では左大臣に奉公が出来ないので男装して獅子丸と名乗る琵琶姫なのですが、菊之助さんは主膳之助と獅子丸ではちゃんと声も雰囲気も違っていて、獅子丸は「男装の少女」でした。

大篠左大臣は錦之助さんだったのですが、織笛姫に振られる役でありながら琵琶姫に想われるという役なので、単に振られる役と違って琵琶姫が好きになっても説得力のある気品がありました。
その大篠左大臣を振り続ける織笛姫は時蔵さんで、色んな意味で歌舞伎らしい姫でした。
琵琶姫があんまり歌舞伎にいないタイプなだけに、対照的な感じで面白かったです。

左大臣は織笛姫に恋焦がれ、琵琶姫は左大臣を想いながらも男装の身で何も言えない中で左大臣の信頼を(獅子丸として)得た琵琶姫は織笛姫へ左大臣の想いを伝える使いの役を任せられてしまいます。
使いとして成功すれば愛する左大臣は織笛姫と結ばれ、琵琶姫の想いは叶わなくなります。
それでも左大臣のため、左大臣の使い・獅子丸として織笛姫に会いに行く琵琶姫。
この時の獅子丸は左大臣の織笛姫への想いを伝えながらも、琵琶姫として左大臣への想いを語っていたので内容が真実になってしまい、織笛姫の心を打ったように見えました。
結果として、織笛姫は獅子丸に恋をしてしまうのですが。

獅子丸がいつも熱心なので、左大臣は織笛姫を想いながらも「獅子丸が女だったらな」と考えている様子。

双子の主膳之助と琵琶姫、また琵琶姫の男装した獅子丸を菊之助さんが一人で演じるのとは別に織笛姫の家老の丸尾坊太夫と道化の捨助を菊五郎さんが一人で演じているのですが、偉そうなのにコケにされる坊太夫と阿呆のふりをして世渡りをする捨助が一人なのが意味深い感じでした。

その坊太夫をコケにする織笛姫の叔父・洞院が左團次さんで、その恋人の腰元・麻阿が亀治郎さん、そして洞院と酒を飲んでいてしょっちゅう坊太夫にバカにされている安藤英竹が翫雀さんという布陣でさらに家来の庵五郎の團蔵さんまで加わるという面白すぎる組み合わせでした。
中でも「このボク!(絶対にこの"ボク"はカタカナでした)」が決め台詞の翫雀さんは、メッシュとフリルという外見以上に動きが面白く、歌舞伎の腰元がよくわかっているからこそ崩しまくって笑いを取る亀治郎さんが最強でした。

織笛姫に断られ続ける左大臣、織笛姫への想いを利用されてコケにされた坊太夫、織笛姫に想われてもどうしようもない琵琶姫、またもう一人おちゃらけっぽくも織笛姫に恋するがゆえに獅子丸に決闘を挑む安藤と織笛姫を巡ってどんどん話がややこしくなる中、琵琶姫と嵐の中で別れ別れになった主膳之助がついに現れます。

主膳之助を獅子丸と思い、決闘を挑んでボコボコにされる安藤。
主膳之助を獅子丸と思い、夫婦の杯を交わす織笛姫。

そして身に覚えのない事を言われ、戸惑う獅子丸とその他。
すれ違っていたがゆえに大混乱の中、ついに同じ顔(という事にしてください、片方は身代わりです)の二人が劇的な再会!二人以外はさらに混乱!

そして二人が生き別れの双子だった事、獅子丸が琵琶姫だった事が語られ、織笛姫は主膳之助と、左大臣は琵琶姫と結ばれるのですが、「女だったらな…」と思っていた少年が本当に女でラッキーな左大臣はともかく、思いっきり人間違いなのにOKしてしまう織笛姫って一体。
獅子丸の事も女と知らずに恋をしたなんて恥ずかしい、で済ましてしまうし。
それでもいかにもな歌舞伎のお姫様なのが大らかな感じで、めでたしめでたしな雰囲気だったのは時蔵さんの持ち味でしょうか。

コメディタッチな話と歌舞伎の大らかさと歌舞伎らしさと西洋風がマッチした舞台に、絶妙な配役が最後まで楽しめる素敵なお芝居でした。
前から評判は聞いていながらも舞台に接する機会がなかったのですが、蜷川幸雄さんってすごいんですね。
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by iwanagahime | 2009-07-24 23:36 | 歌舞伎周辺

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