南座に行ってきましたよ、久しぶりに一等席だったので謎の緊張をしました。
『高時』以外は初めて観る演目ばかりだったので、全体を見渡せる席だったのがちょうど良かったです。
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演目とか配役は
この辺という事で、感想。
一、新歌舞伎十八番の内 高時
北条高時の話、愛犬の警護をさせたりして家来に嫌われてるっぽい高時。
お婆さんを襲った犬をお婆さんの息子である浪人にけしかけたら返り討ちに、愛犬が討たれたと知った高時は浪人を処刑しようとすると。
右近さんの高時はふてぶてしくてよかったです。
大佛陸奥守(猿弥さん)が正攻法で処刑を思いとどまるよう言っても聞かず、秋田入道(寿猿さん)が先代の命日に非道な事をしてはいけないと言われてようやくとどまる始末。
二人とも犬の警護させられてる武士とかが「何で人間なのに犬の警護なんか」と不満なのを知っていて、いつかこうなると予想してたような雰囲気が。
烏天狗の場面は不気味でアクションも激しく、さっきまで偉そうだった高時がぐるぐる回ってしまうところに魔界を感じました。
浪人が処刑されなくてほっとしたり優しいのに、異変を察知して長刀を持ってくる愛妾衣笠(笑也さん)って武家の女性っぽいと思いましたね。
二、太刀盗人
狂言が題材の松羽目物、田舎者万兵衛が亀三郎さん。
田舎者だけどみやげ物を買う姿は堅実、いい人っぽい。
すっぱの九郎兵衛は何と松也さん、泥棒髭が出オチっぽかったですが最後まで面白かったです。
万兵衛と九郎兵衛が太刀をめぐってもめていると、目代(もくだい)丁字左衛門(市蔵さん)が通りかかる。
目代の役目をわかりやすく説明したり、問題を解決するために太刀の謂れを語らせたり頼れそうだけど居眠りしてたり面白い(万兵衛は困るだろうけど)
よく通る声が災いしたのかせっかく答えた太刀の詳細を九郎兵衛が盗み聞きして真似するので、踊りにしてみたり(どう見ても万兵衛がスムーズ)連れ舞にしたり(どう見ても九郎兵衛が遅れてる)しますが、それでも目代が決定的なポイントを見出せないので盗み聞き防止に耳打ちで太刀の長さを答えて解決。
最初からそうすれば良いようなものですが、途中の真似とか舞が面白いのでアリです。
三、歌舞伎十八番の内 鎌髭
山崎の里鍛冶屋四郎兵衛内の場
市川海老蔵景清にて大荒事相勤め申し候
かみてに「歌舞伎十八番の内 鎌髭」しもてに「市川海老蔵景清にて大荒事相勤め申し候」とか何とか書いてあったり、劇中口上(お父上の話も……)があったり、お約束の「海老蔵にそっくり」があったり、ザ・荒事でした。
迎え撃つ側も亀三郎さんに松也さん、猿弥さんと声が好きな人が揃ってて見ごたえがありました。
新悟さんも正体を表して姫姿で戦う場面とか良かったです。
市蔵さんがうるおい有右衛門というツッコミどころしかないキャラやってて面白かったです、うるおいだからヘチマ持ってるのか……えー?みたいな。
いかにも荒事ですが、景清はほとんど動きません。左團次さんの三保谷に鎌を突きつけられても限界まで動きません。
なぜなら謎の観音パワーで無敵の体だからなのだ!大・勝・利!
みたいな話でした、動かない海老蔵さんというのも新鮮でしたね。
動かないのに荒事感は満載でした。