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私邸周辺


松竹座GOEMON(今井翼さん出演)

初演はシスティーナ歌舞伎として、そして松竹座で再演されたGOEMONが再び大阪に。
しかも、今回はジャニーズアイドルの今井翼さんが出演してよりパワーアップしての上演という事で行ってきました。

セットは前回と同じくメタルフレームですが、天井にもイルミネーション的なのが加わったりより派手な感じに。
ごえもん[画像]

大まかなあらすじ(イスパニアの神父であるカルデロンと明智家の家臣の娘である石田局の間に友市という息子が生まれ、後に五右衛門になる)は同じなのですが、細かい修正点や配役の違いなどがありました。
前回のレポはこちらなので、これをベースにして変更点を中心に書いてみたいと思います。

まず大きな点は五右衛門の父のカルデロン神父が今井翼さんである事ですね、スペシャルゲスト的な立ち位置だからかカルデロン神父の出演する場面が増量していました。
また、松也さんのカルデロン神父はパーマでロングの鬘に髭という出で立ちで西洋絵画の聖人風だったのですが、赤毛でストレートヘア(ややショート)で髭はなくアイドルらしいスッキリとした立ち姿を生かした風貌でした。
今回の出演は前回も出演されていたフラメンコの佐藤浩希さんの縁だそうで(翼さんがフラメンコを習った先生が佐藤さん)、そのためか増量した場面もフラメンコの場面でした。
前回は故郷に帰ったカルデロンが友市の幻(別れた時の幼い友市のまま)とフラメンコを踊る場面でカルデロンの出番は終りだったのですが、今回は五右衛門が阿国にフラメンコを伝授するために踊る時に父上の幻(これがまた別れた時のカルデロンの姿なのが泣けるのですが、年齢が逆転しているので笑ってしまう客席)が現れます。

翼さんはジャニーズアイドルとして若い頃から芸能界で修行している身だからか台詞もわかりやすく、フラメンコという特技を生かした役なので見ごたえがありました。
また、アイドルらしい立ち居振る舞いやスタイルも異国の人という役なので良い方向に作用していました。
前回は何でも神の思し召しと言いすぎて後半だんだんツッコミ所になっていましたが、最初の部分でいくつか削除されていたので改善していました。

五右衛門の母である石田局は上村吉弥さん、前回より重厚な配役なのでこの話で最も歌舞伎的な最期を遂げる石田局の歌舞伎らしさが強調されていました。
吉弥さんはこの後も名古屋山三の役で出演なので、この舞台の歌舞伎らしいパートを担う形でした。

前回は幼い友市で涙を掻っ攫っていた吉太朗くんも成長して加藤虎之助の役に。
まだ変声期の影響か声がしんどそうでしたが、立派なお侍でした。

吉太朗くんがかつて頑張っていた友市はやはり有名な子役だったようで(この日は若山耀人くん)、親子の別れもフラメンコも頑張ってました。

秀吉も恐れる北政所は萬次郎さん、恐ろしさを強調しつつも秀吉が平伏している間にさりげなく翫雀さんの鴈治郎襲名披露興行の宣伝をする良妻でした(笑)

他には石田局の最期で人魂が現れる場面で、霊となった石田局が消えるだけでなく鷹が飛び立つ演出が加えられており、逆に山門の場面で鷹の精となった母上ではなく名古屋山三が登場して(あ、中の人が同じ)堺の港から落ち延びよと言います。
ちなみに愛之助さんは堺市出身です。
母上の鷹は父上からの手紙を運んでくる時(小道具)とラスト(宙乗り、これは前回と同じ)に登場。

五右衛門の愛之助さんと阿国の壱太郎さん、秀吉の翫雀さんは前回に引き続き同じ役ながらより練られていました。
フラメンコの佐藤浩希さんも久しぶりでしたがカッコよかったです、またパンフレットで歌舞伎とフラメンコの共通点について語っていて新たな視点を得た感じでした。

翫雀さんの諸悪の根源っぽさと、奥方に言い訳をしながら尾張の言葉が出るあたりの人間味が一筋縄で行かない人物でよかったです。
壱太郎さんは秀吉の要求を突っぱねたり、鞘当の留め女をしたり立ち回りをしたりする強い女性ですが、舞の美しさや芸事に悩む姿などの柔らかさの二面性が良かったです。
また追っ手を撹乱するために五右衛門のふりをする場面で声を低くして五右衛門ここにありと言うのですが、男のような声を出す女の声に近く、派手な立ち回りの中でそれが女らしさを強調していました。

愛之助さんはまさに主役という貫禄でつづらや山門の五右衛門らしい場面も豪快で、フラメンコを伝授しながら父上の幻を見る時も笑いが起きつつも段々と父上への思いと悲しみが伝わってきます(踊れないと言いながらフラメンコシューズを装着済みなのは相変わらずでしたが)

フラメンコのカント(歌)と大薩摩(三味線)のセッションも進化していました。

最後は前回と同じく母上が変化した鷹に乗ってイスパニアの父上の元へ、前より余裕があるのか限界まで三階席に顔を向ける愛之助さんがサービスたっぷりでした。
カーテンコールもあり、愛之助さんと翼さんに盛大な拍手が起きていました。

歌舞伎としてどうかという意見はあると思いますが、五右衛門テンプレという強みと絶妙な配役もあり受け止めやすいと思うので東京でも上演があるといいですね。
和物とフラメンコなどの哀愁のあるギター音楽の相性の良さは鬼平犯科帳のエンディングで証明済みと思っていましたが、今回はパンフレットで歌舞伎とフラメンコの共通点なども見た後だったのでより深くこのコラボが楽しめました。

演劇
by iwanagahime | 2014-10-25 23:31 | 歌舞伎周辺

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本サイト弓戸亜朗私邸では書ききれなかった小さい事を、主:亜朗(iwanagahime)がどこまでも核心に迫らないまま書くブログ、だいたいそんな感じで。
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