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私邸周辺


大蔵流 茂山狂言 新春川西公演

川西市での公演は10回目となり、もはや恒例行事の感じもある茂山狂言です。
記念すべき10回目という事で、普通ならおめでたい演目というところですが一ひねりして今回は太郎冠者が主役のものだけを集めたとか。

この日は茂山家の新しい本「和伝書」が発売という事で、宗彦・逸平・茂の三人が客席まで売り歩いていました。
「工場から直送!手に取ってください、ちょっと暖かい!」と無茶を言いながら売った成果で、持ってきた分は完売したそうです。
書店にはまだまだありますし、面白かったので是非。

和伝書: 狂言・茂山千五郎家の和らい

茂山千五郎家 / 淡交社



そして本編。

『千鳥』
付けで酒を買ってくるように主人に命じられたものの、支払いが滞っているので酒屋の亭主が酒を売ってくれないという話。
太郎冠者は主人と行った津島祭の様子を語って酒樽を山鉾に見立てて曳いてみたり、何とか酒を持って帰ろうとします。
あきらさんの太郎冠者は酒屋の亭主と親しそうなのですが、酒屋の亭主もいくら親しくても金がない時に限ってウチで買おうとするのでもう無理!みたいになっていて売ってくれそうにないです(七五三さんの無理!という顔が本当に無理そう)
何度も酒樽を千鳥や山鉾に見立ててはドサクサに紛れて酒樽を持っていこうとする太郎冠者と、それに気付く亭主というやり取りが面白いです。
最後は流鏑馬の真似でスピーディに酒樽を持っていきます、太郎冠者のドヤ顔が印象的でした。

『棒縛』
みんな大好き夜の棒、というのはさておき留守番を頼むと太郎冠者と次郎冠者が酒を盗み飲みするので縛って出かけるという話。
次郎冠者が正邦さんで太郎冠者が茂さん。
悪戦苦闘しながら縛られたまま酒を飲み、歌って踊って宴会になってしまうという。
狂言での棒縛は縛られたままのアクロバティックな動きもですが、すっかり上機嫌になってる愛嬌とか帰ってきた主人が杯を覗き込んで映っている顔を見てもいつまでもリアル主と気付かずに「きっと酒が気になって執念が表れたのじゃ!」とか言ってる暢気さが面白いですね。

『空腕』
日頃は腕自慢の太郎冠者、でも実は弱くて臆病者という意味で空腕。
腕自慢だから断れずに待ち伏せが出るという状況で遠くへのお使いを引き受けて、しかも主の大事な太刀まで借りています。
童司さんの太郎冠者は日頃の腕自慢が伺える感じで、だからこそ何もない空間に命乞いをしてる姿が面白いです。
不安になって見に来た主が太刀を回収した後、もうあの世にいるものだと思って嘆き悲しんだり、生きてると気付いて主の元に戻った後、太刀を盗られた話を盛りに盛りまくった武勇伝で話す時に矢という言葉が思い浮かばず飛び金と言ってる武勇の内容のあやふやさとか最高です。

『呼声』
無断で旅に出た太郎冠者がこっそり帰宅していると知った主が、次郎冠者を連れて太郎冠者の様子を見に来る話。
主はあきらさん、太郎冠者が宗彦さんで次郎冠者が逸平さん。
太郎冠者が主が来たと察して居留守を使い、何とか引っ張り出そうとする次郎冠者と主ですが、最初は普通に太郎冠者はいるかとか言うのが声色を使って居留守を使えば主たちも声色を使って呼び出したりと割とノリのいい主従。
さらに平安節、小歌節とエスカレート。太郎冠者なんて「今度は小歌節か、難しくなってきた」とか当初の居留守という目的からそれてる感が面白い。
最後はみんなで踊って居留守がばれるという、何とも大らかな狂言らしい演目でした。

一口に太郎冠者が主役と言っても、色々な太郎冠者がいて面白かったです。

演劇
by iwanagahime | 2015-01-24 22:50 | 見たもの周辺

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