豊中にある西福寺では毎年11月3日に寺宝の公開があるのですが、虫干しなので雨が降ると公開中止になります。
今年は無事に晴れたので、行って来ました。
寺宝というのは伊藤若冲の仙人掌群鶏図などをはじめとした絵画なのですが、これは天明の大火で家などを失った若冲がしばらくこのお寺に滞在していたという事で檀家の薬種問屋・吉野五運からの寄進という形で納められたそうです。
若冲の絵としては珍しい金地の襖絵で、仙人掌と鶏が描かれています。
襖絵なので襖のサイズなのですが、頭でわかっていても掛け軸や屏風に比べると「大きい」というのが第一印象でした。
逆から言えば本などで印刷で見る分には実際のサイズに関わらない安定感があるという事でしょうか、わかりやすく若冲の鶏というイメージでした。
他は水墨画で、黒く塗られた背景に白い髑髏が浮かび上がる野晒図は宝蔵寺の髑髏とはまた違った野原に忘れ去られたような骨でした。
また山水図の掛け軸もあり、こちらもシンプルな水墨画らしい山水図でした。
そして元は仙人掌群鶏図の裏で今は掛け軸になっている蓮池図は圧巻で、一見したところ乾いた印象の画面に枯れた蓮が目に入ってくるので寂しい印象を受けますが、間から伸び上がってくる蕾や咲いている蓮の花が真っ白に目に飛び込んできます。
たとえ荒れ果てた場所でも伸びやかに咲き誇る蓮に、大火の後に見た若冲の願いを見た気がしました。
やはり珍しい金地で若冲といえばな鶏な仙人掌群鶏図がお寺のパンフレットなどでもプッシュされていますが、印刷ではなく実物を見るとパワーを感じ取れるのは蓮池図だと思うので、公開の日に行くならこちらに注目ですね。