松竹座の坂東玉三郎初春特別舞踊公演に行きました、玉三郎さんと壱太郎さんがメインで口上、元禄花見踊と秋の色種はお二人で、そして壱太郎さんの鷺娘と玉三郎さんの傾城で締めくくる形です。
鷺娘は特に最後に倒れて終わる玉三郎さんタイプの鷺娘なので、玉三郎さんのファンが集まる舞踊公演での挑戦はどちらのファンでもある私には注目ポイントでした。
口上ではいつものあんまり滑らかではない玉三郎さんとハキハキした壱太郎さんでしたが、玉三郎さんが壱太郎さんに何を踊りたいのか聞いたらなかなか答えてもらえず、ぎりぎりで鷺娘だと言われた話もあり、また上方歌舞伎の発展を願う壱太郎さんと玉三郎さんの上方の伝統芸能への暖かい言葉がありがたかったです。
元禄花見踊はとにかく華やかで、花見のにぎやかさの中で立役も女形も美しい姿で踊っている中に不動のセンターと次世代のホープ感のある玉三郎さんと壱太郎さんが際立っていて、それぞれ違う良さがありました。
一言にまとめると、浮遊感と躍動感みたいな。
玉三郎さんの紐を使った踊りがまた、身体の一部であるかのように自然に踊りの動きの延長上で紐がくるくる回ったりしているのが幻想的でした。
秋の色種はまた違った風情で、しっとりとした雰囲気からにじみ出る華がやはり元禄花見踊の春ではなく秋の空気で、琴の演奏もただ演奏するのでなく踊りの一部という感じでした。
元禄花見踊にも秋の色種にも共通して、玉三郎さんがシックな色合いの衣装で壱太郎さんが可愛らしい色使いの衣装なのが姉妹感があって、それぞれの美しさと可愛らしさを強調しているのが衣装も舞台の一部という事を感じました。
壱太郎さんの鷺娘は玉三郎さんの幻想と違って鷺に変じた娘に起きた一部始終を見せるようなリアリティーがあり、また違った魅力がありました。
玉三郎さんの傾城は舞踊でありながら吉原の廓の四季を感じ、また傾城が待っている相手の姿も見えるような、それでいてその傾城もある種の理想化された姿というか「夢のような世界」というありふれた言葉があり得ないほどの実感を持つような舞台でした。