23日に京都の祇園甲部歌舞練場で行われた、茂山狂言・笑の収穫祭に行ってきました。
KBS京都創立60周年、KBS京都主催 茂山狂言10周年という事でおめでたい雰囲気の演目、そして何といっても幻の『唐相撲』が上演されるという事でどうしても行きたかったのですよ。
狂言の出演者はだいたいが主人と太郎冠者とか主人と太郎冠者と山伏とか2~3人ぐらいの事が多いのですが、唐相撲は出演者が30人オーバー、加えて衣装が唐を舞台としているので専用のもの。
楽器や小道具も専用のものが多く、現在では唐相撲の装束がそろっているのは大蔵流茂山千五郎家と和泉流野村万蔵家だけとか。
しかもアクロバティックで体力も必要なので、人気はあるのになかなか上演されません。
そんなこんなで演目と配役なんぞを、書き忘れましたが見たのは17時からの部です。
・三番三
三番三 茂山茂、面箱 井口竜也
・昆布売
大名 茂山あきら、昆布売 茂山童司
・唐相撲
帝王 茂山千五郎、日本人 茂山正邦、通辞 茂山七五三、髭掻 茂山あきら、その他
感想
・三番三
三番三を舞う事を「踏む」というぐらい、足拍子が多用される曲。
揉ノ段での舞は大迫力でした!ちょっと声の調子がよくなかったような気がしましたが、気迫を感じました。
鈴ノ段もリズミカルで、勢いのある幕開けでした。
関係ないけど、後ろの席の人が「茂山茂ってすごい名前だよね~」と盛り上がっていました。
・昆布売
あきらさんの人が良さそうなのに強引な大名と、最初は人当たりがいいのにキレると怖い童司さんの昆布売のやりとりが面白かったです。
しかし、太刀を預けちゃうってかなり無防備ですよね。あ、だからこんな事になるのか。
そしてやたら耳に残る若狭の小浜のめしの昆布~。
・唐相撲
でたらめ外国語コントはすでに狂言が完成させていた…
長く中国に滞在していた日本の相撲取が帰国を願い出ると、帝王は名残にもう一度相撲が見たいと所望するので唐人が相手になる話という事で日本語の台詞は相撲取と通辞(通訳)のみ。
後は昔の日本人が作った中国語っぽい台詞、通辞が帝王にお伺いを立てる時に「ワンスイ、ワンスイ、チンプルポー!」とか相撲を取る前に帝王に敬礼する唐人の「シャッパイ!」とか。
しかも通辞が訳す前と後の情報量がおかしいとか訳す前は同じだったのに訳したら変わってるとか、いやさっきの日本語だろとかツッコミどころ満載!
唐相撲の「唐」の部分も充分でたらめですが、「相撲」の部分もでたらめでアクロバティックすぎる倒され方が凄すぎる。
倒された後、大車輪でしもてに消えていった二人組の唐人が忘れた頃にかみてから転がって来たり。
ちびっこ二人を持ち上げた後、大人二人を同じように持ち上げて(これは純粋に正邦さんの体力がすごい)何を言うかと思ったら「可愛くない!」とか。
細かいネタでは他は昔風のでたらめ中国語台詞なのにタモリか中川家っぽい偽中国語の宗彦さんとか、一人だけ「イッペイ、ライライ」となぜか名前で呼ばれる逸平さんとか、帽子の被り方が変で(なぜか前髪が出ている)やたら怯えまくって逃げる童司さんとか。
最後はやたら手間のかかる帝王との対戦(髭掻ってこのためだけにいるの?)があり、謎のでたらめ中国語歌を大合唱して終るというものすごい狂言でした。
唐相撲の装束を今でも持っている大蔵流茂山千五郎家と和泉流野村万蔵家の共演で上演されたバージョンが
DVDであるそうなので、機会があれば是非。